「これより始めるのはなんてことのない、記憶にすら残らない、そんな些細なお話です」
彼(彼女)が目を覚ましたのは真っ白で大きな図書館だった。
眠りに落ちる前の記憶どころか名前すらも覚えていない、ヒトの体を纏った「誰か」。
全身真っ白な彼が成すべきことは与えられていた。すなわち、この図書館の管理、そして――。
これは、真っ白空っぽな彼が、自分自身を書き綴っていくお話。